私はえんとつ町の住人/えんとつ町のプペル

えんとつ町のプペル 西野亮廣 出張撮影

えんとつ町のプペルに登場する『ゴミ人間』は、この絵本の原作者 西野亮廣さん自身だった。

 

12月18日に発売されたばかりの西野さんの著書「ゴミ人間 日本中から笑われた夢がある」を読んだ。

お笑いの世界で人気絶頂にあったキングコングの西野さんは、その世界で一番になれないと判断、テレビの世界をあっさりと捨て、まったく別の世界にシフトした。

絵本作家だ。

 

えんとつ町のプペル 西野亮廣 36カメラ吉松清美

 

テレビ番組にひっぱりだこの人気者がお笑いの仕事を辞めてしまうことを、多くのひとたちは理解せず、否定やバッシングをし続ける。

このことがきっかけとなって、「えんとつ町のプペル」が出来た。

えんとつ町は、夢を潰そうとする社会。

えんとつ町の住人は、夢を攻撃する人たち。

そんな中で、自分の夢と希望(初めてできた友達ルビッチの夢を叶えること)を信じぬき、行動したのがゴミ人間プペルだ。

 

絵本「えんとつ町のプペル」は、2020年11月の時点で、累計発行部数55万部という、絵本としては異例の大ヒット作となった。

「日本中から笑われた夢」絵本作家としての成功をおさめ、今なお常識を覆す様々な取り組みに挑戦し続けている西野亮廣さん。

素晴らしい。

自分の夢を信じぬき、挑戦し続け、素晴らしい結果を出している西野さんに拍手を送りたい。

 

・・・。

 

嘘だ。

私はそんなこと思っていない。

なぜなら、

私はえんとつ町に住み、夢を攻撃する住人のひとりだからだ。

 

叶わない夢や希望は持たないほうが辛くない。

 

そういえば、

今日はクリスマスイブだった

 

出張撮影36カメラ吉松清美

 

「クリスマスプレゼントはなにがほしい?なんでも好きなもん買ってやる」

「なんでも?」

「おう、なんでも買ってやる」

「そしたら、ミルク飲み人形がほしい」

「人形?おまえ小学生にもなって人形とか、赤ちゃんか。恥ずかしい。そんなもん買ってやるわけないやろ」

 

私の希望を一笑に付した父は武士ではないからか、堂々と二言を発し、私の望みが叶えられることはその後一度も無かった。

 

西野亮廣 36カメラ吉松清美

 

 

そう、自分の希望を言えば言うほど、バカにされ、笑われ、否定され、挙句の果ては封じ込められるという経験は、クリスマスプレゼントに限らない。

やりたくて入部した中学の部活動も3日でやめさせられ、○○高校に入れたら部活をやってもいいという父の言葉を信じて合格を勝ち取り、晴れて入部したら数カ月でまたもや強制的にやめさせられ。

進路は父の希望一択、私の希望は「夢みたいなこと言うな」と笑われ、封じられた。

夢や希望が叶うことはあり得ないことなのだ。私には。

バカにされるくらいなら、夢も希望も持たないほうが辛い想いをせずに済む、どうせ叶わないんだから。

夢を語るのは恥ずかしいこと。傷つくこと。

そう思考する人間が出来上がった。私だ。

 

私はえんとつ町の住人だ。

 

それからの私の人生は紆余曲折もあったが、父の影に怯えることが無くなってからも、どこか諦観して冷めた自分がいて、

呪詛のように頭にこびりついた「夢を持ってはいけない」という信条は揺るぐことなく。

バカにされることを極端に恐れ、

人の期待に応えて手に入れた小さな自信を積み重ねることでしか、生きる意味を見出せず、

現実的で合理的で、

欲しいものもないし、

この先の人生をどう生きたいかと聞かれたら、

息子に迷惑かけずに、日々糊口をしのげればそれでいいという、

なんともつまらない、ちっぽけな人間。

それが私だ。

 

えんとつ町のプペル 36カメラ吉松清美

 

人の夢を耳にすると、苛立つ。

夢や希望を持たない、持てない私のくだらない嫉妬。

そんな途方もない夢物語、叶うはずがないと心の中で思っている、いや、願っている。

 

これはどうしたことか。

あれほどまで恐れ、憎んだ父というドリームキラーに、私自身が成り下がっているじゃないか

 

自分で夢を持つことを諦めて、人の夢までも否定する、

そんな「えんとつ町の住人」である私が、

>自分の夢を信じぬき、挑戦し続け、素晴らしい結果を出している西野さんに拍手を…

素直に送ることなどできない。

 

えんとつ町のプペル 西野亮廣 出張撮影 36カメラ

 

なのに、気になる。

絵本「えんとつ町のプペル」には描かれていなかった、えんとつ町の住人がどうなったのか。

知りたくてたまらない。

 

だから明日、12月25日に公開の「映画 えんとつ町のプペル」を観に行く。

 

もしかしたら、

もしかしたらまだ間に合うかもしれないと、

私の心の奥底に残っていた、ごくわずかな希望のかけらが囁いている。

 

 

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