家族を撮影 老いた父の写真撮影
見たことない、その帽子は一体どうしたと?
部屋の中でも被りっぱなしなんは、散髪したてで頭がスースーするんやろ
昔は汗っかきやったんに、蒸し暑い今も汗一つかかんで、長袖でね、寒がりになったね
吊るしのスーツとか、絶対着らんオシャレさんやったんに
1回でも着たシャツは必ずクリーニングに出してから
ママは大変やったと思うばい
そのママが先に逝ってしまってからは、自分のこと全然構わんごとなって
いろんなこと、忘れて、忘れて
私は覚えとうよ
覚えとうき、悲しい、悔しい
ママが亡くなったことも忘れて
娘の顔も忘れて
でもね、まさか左目が全然見えてなかったこととか、忘れんで言うてよ
家の中で何度も躓いて転んだのも
よぼよぼして歩きようのも
よく見えてなかったんやが、もっと早くわかっとったら
そう思ってしまうんよ
昔の厳しい父ちゃんが、ずいぶんと穏やかな顔に変わったよ
いろんな嫌なことや辛いことを忘れていくのは、いいことなんかもね
目の前にある楽しいことだけでも、ちゃんと見えるようにしとこ?
嫌やろうけど、手術がんばろう
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最近、友達の親御さんの訃報が重なり、同世代である自分にとっては他人事ではなく、いずれ私の父もその時を迎えると思ったら、今のうちに写真を撮っとかんといけんと思いました。
自分の親の写真とか、改めて撮るのは気恥ずかしく、私がカメラマンになったことも理解してくれていないはずなので、撮影はなかなか難しいものがありますが、これからできる限り、不機嫌にならない程度にシャッターを切っていこうと思っています。