全日本マスターズレガッタ2019浜寺の撮影/⑧萬代治選手
萬代治選手(77歳)
|
素敵なボートマンシリーズ、八人めは萬代治さんです。
萬代さんは、1964年の東京、そして1968年のメキシコと、なんと2つのオリンピックに出場されたご経験のあるオリンピアンです。
クルーの中では、Cox(コックス)を担っていらっしゃいます。
※Cox;英語のCoxswain(コクスン)の短縮
コックスとは、舵手(艇の舵を取る人)のことで、
①ラダーワーク~ラダー(舵)の操作
②ボイスワーク~漕手への指示
これらを行い艇を操作します。
艇が真っすぐに進むのが一番いい(速い)ことは吉松にもわかります。
しかし実際には、漕手の漕ぎのバランス、波や風など、様々な要因により艇は蛇行しながら進んでいくので、コックスは舵を操作して針路を真っすぐに保ち(ラダーワーク)、減速を最小限に抑えているわけですね。
しかしながら、舵を切ることは、水の抵抗を受けるために減速することになるので、
舵を切らずに(ノーラダー)、漕手に的確な指示を出して(ボイスワーク)艇をコントロールすることが理想だということです。
コックスはまた、クルーの心理を把握しつつ、ベストパフォーマンスを引き出すことを常に考えているそうです。
ここぞということきに掛け声をかけて士気を高めたり、競っている艇との勝負の駆け引きにも長けていなくてはならないそうです。
コックスの指示は絶対です。
だからこそ、その責任はとても重く、高度な技術と冷静な判断力、そしてなによりクルーからの厚い信頼が必要とされる重要なポジションですね。
ここまでコックスの役割について書いてきましたが、
実は今回の記事を書くにあたり、同級生の小野山くんの助けを借りながら(小野山くんありがとう!)Wikiを駆使しながら(笑)、わからないボート競技の専門用語をネットで調べて、かなり必死こいて💦やっとここまで理解を進めることができたんです。
全日本マスターズレガッタ2019当日、浜寺での撮影時に私は、初めて見るボートとそのクルーたち、漕ぐ様子、競技を目の前にしても、事前に仕入れたネットからの知識は大して役に立たず(笑)
コックスがなんたるかも理解しているとは言えませんでした。
しかし萬代さんの際立った存在感は、コックスである萬代さんのことを知らなくても、カメラマンの私の目を惹きつけました。
絵になる後姿だったり、
撮りたい!と、強く感じてシャッターを切ることが何度もありました。
とても魅力的な方です。
大柄で屈強な体格のクルーの中では、小柄でスリムな萬代さんですが、重量を減らすために軽量であることを求められるコックスとして、そのポジションは彼のためにあるとさえ思えるほどです。
レース中は艇とクルーをコントロールするコックスとしての司令塔である萬代さんですが、
クルーひとり一人のコーチであり、クルーを統率する監督であり、勝つためのレースを組み立てる戦略家でもあります。チームの頭脳ですね。
10年間一緒のチームで艇に乗ってきた小野山くん曰く、
「萬代さんは、艇を速く進める方法を最も良く知っていて、その方法を現役選手として長く実践し続けている。コックスのお手本だと思う。」とのことです。
クルーのみなさんが、萬代さんを尊敬し、心から信頼しているということが私にも伝わります。
現役の選手としてもレースで優勝をし続ける。
1年を通してレースの計画を立て、今回の全日本マスターズレガッタ2019でも、三菱ボートクラブシニアのクルーを優勝に導かれました。
しかし萬代さんの目標は、全日本ではありません。
萬代さんのあくなき勝利への執念、照準は9月にハンガリーで開催されるワールドローイングマスターズレガッタ。
→2019 World Rowing Masters Regatta
今回は、9人目の漕手とも呼ばれるコックスである萬代さんをご紹介させていただきました。
(ボート競技のレガッタでは、エイトの漕手8人が最大数であることから)
素晴らしいコックスである萬代さんを撮影させていただけたことを、心から光栄に思います。
ありがとうございました。
これからも長く三菱ボートクラブシニアのコックスとして、その雄姿を見せていただけるのを楽しみにしています。
次回も素敵なクルーをご紹介していきます。
どうぞお楽しみに♪
——————————————————
【全日本マスターズレガッタ浜寺の記事】
①素敵なボートマン/秋山健一郎選手